雨音日記
私は壊れたロボットである。
人から言われた事を、精一杯やるようにとインプットされている。
そして、そのことを褒めてもらわないと、まだ相手は満足していないという意味になり
さらにがんばってその人の言う事をするようにプログラムされた。
こんな都合の良い存在はいない。
でも、やはり生身の人間で
ある時から、苦しくなって出来なくなることが起こった。
それは、相手の人間の要求のエスカレートと
それに応えるには、肉体的にも、精神的にも限界を過ぎたためである。
それから、こちら側も相手を値踏みするようになった。
そうしたら、私の献身や服従に見合うような素晴らしい人間などいなかった。
どいつもこいつも、クソばかり。
でも、私の中のプログラムは生きている。
しかしまだ、壊れた私と言う入れ物のなかにプログラムは生きている。
私は、いまでも動く。
頑張る。
そしてクラッシュする。
それの繰り返しの毎日。
あぁ、自分以外の人のように、他人に期待して荷物を背負わせ、自分は舌をペロッとだしてうまい汁を吸う調子の良い感覚が欲しい。
この感覚がなければ、弱い人間は生きてはいけない。
薄汚くなければ、生きていけないのである。
しかし、薄汚いことをつきつけられるのは面白くないから、そのことを指摘されるのを極度に嫌がるずうずうしさも必要。
あぁ、汚らしい。
じゃあ、私はどうする?
自分の理想にはなれないし、なりたくもない。
人に利用されるのもいや。
そう、「人間」をやるのが、私には辛いのだ。
私は、空気や、風や夜の暗闇のように、無機質な存在になりたい。
命はいらない。
人間が苦手。
これはここだけの話。
世の中を歩くときは
「コンナコトハ考エテハイマセンヨ。ナニイッテルノ?私ハフツウデス。」
といって歩く。
みんな淋しいの。
私も淋しい。
私も乞食。
満たされることのない杯。
半端な説教も救いもいらない。
人を拒絶する強さが欲しい。
この頭の中のアンテナを引きちぎりたい。
「ワタシハ普通デス。」